KATOU ICHIKOU

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防災の日と震災とベローチェ

 ラジオが、今日は防災の日だと言っていた。
「避難場所と避難所とでは、違うんです。避難場所は災害から緊急かつ一時的に避難する場所、避難所は災害により住居を確保することが困難になってしまった住民のためにその場所を提供する施設のことです。災害があった時にはどこに避難するか、最低でも二ヶ所は想定しておかなくてはいけません。震災による二次災害、火災にも注意が必要ですし、人間雪崩の可能性もありますから、人混みや狭い通りは避けた方がいい場合もあります。1メートル四方に五人以上人がつまっているような混雑した場所では、人間雪崩の可能性が高くなります。」


 もしそうなったら、どこに避難する?と妻が聞いたので、ベローチェ。と答えた。んもう。と妻は笑った。


 震災の日、職場から5時間かけて歩いて帰った。信号は機能せず、微動だにしない環状線の渋滞を歩いて追い越した。数え切れないほどの事故と、いくつかの喧嘩を見た。住宅街に入ると、道路は海みたいに波打ったまま固まって、家々は崩れて中身がはみ出ていた。
 アパートに帰る道は自衛隊が封鎖していた。火事が起きているから通ってはいけないと言われた。ベローチェに行った。ベローチェだった塊の前で、妻が泣きながら笑っていた。コーヒーは出そうにないねって言って、僕も泣いた。