KATOUICHIKOU

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チュー太郎

 歩いていると、道路の端っこでチュー太郎が死んでいた。チュー太郎は車に轢かれたようだった。頭も胴もない、なんだかわけのわからない黒いぐちゃぐちゃの集まりから、小枝みたいな小さい手足とミミズみたいな長細いシッポが、死ぬにはいささか正しすぎる角度で五方向に伸びていた。分度器と定規を使って書いた星の形みたいに正しい形だった。ウィトルウィウス的人体図みたいに建築的だったし、海賊旗のように脅迫的でもあった。つまりは、シンボルだった。チュー太郎は死んで、シンボルになった。シンボルになりたくてなったわけじゃなかった。チュー太郎は脳ミソがちょびっとしかなかったから、死にたいも生きたいもなかったし、シンボルなんて匂いもしなければヨダレも出なかった。たまたま正しい形で死んだから、シンボルになってしまっただけだった。チュー太郎のシンボルが何を象徴しているのかは、僕も脳ミソがちょびっとしかなかったからわからなかった。僕はチュー太郎のシンボルを大股で跨いで、昨日とも一昨日とも同じ時間の電車に乗った。その日から三日間は天気も良く、チュー太郎のシンボルは三日間そこに示され続けて、僕は三日間大股で跨いで、明日とも明後日とも同じ時間の電車に乗った。三日目には干からびて、ほとんど道路と見分けがつかないくらいになっていた。四日目にはなくなっていたので、本当に道路になってしまったのかもしれなかった。四日目の午後から雨が降り始めて、三日間降り続けて、四日目に雨は上がったけれど、その頃にはチュー太郎のシンボルがどこにあったのかわからなくなってしまった。これが本当にあったことなのかさえもわからなくなってしまうのには、もう一日あれば十分だろう。