KATOUICHIKOU

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クウキトメトロ 5

 オフィスで昼食をとっている時に、少し熱っぽいような気がして、火照っているのとも違う、熱いのに寒いみたいな、風邪になる直前の、あの感じがした。昼食はデイリーヤマザキのサンドイッチと生クリーム入りメロンパンだった。それが食べたかったというよりは、お弁当とかおにぎりとかを見て回って、今何が食べたいのかを考えるようなことが億劫で、揚げ物が入ったお弁当も重たくて、だから店の突き当たりのパンの棚にあったものから適当に選んで、こうなった。もっと栄養のありそうな、中華屋の野菜炒め弁当とか、そういうものにすればよかったとメロンパンをかじりながら思った。メロンパンには野菜も肉も入ってなかった。入っていたのは生クリームだった。ひたすらに甘くて、栄養はなかった。

 夕方になると寒気というか、悪寒というか、そういうものも少しだけ出てきてしまって、マフラーを広げて膝に掛けた。僕のマフラーは女物だった。女物のマフラーは男物のマフラーより幅が広いから、普段は細くなるように縦に折って首に巻いた。折らずに広げると結構な幅があったから、十分な膝掛けになった。首に巻いたり肩に掛けたりした方が温かいはずで、本当はそうしたかったけど、しなかった。「年末の繁忙期に入ります。体調管理を徹底しましょう」と 、毎朝の朝礼でお決まりのように言われていたこともあって、風邪をひいたのではないかと周りの人に思われることは、事実、たぶん風邪をひいたのだと思うけど、気が引けて、ひとまずそう思われないようにしておこうと、そういうことにした。

 デスクの上には手付かずの仕事が何件か、少なくとも四、五件くらいは残っていた。デスクの右側に積み重なっているクリアファイルやらファックスやらが、まだ手をつけていないものだった。左側に積み重なっているものが進行中のもので、ノートパソコンの後ろに立ててあるものと、デスクの足元に山になっているものがすでに終わったものだった。僕はこの時代に、こんなに紙に溢れて仕事をしている人がいることを、自分のことながら信じられない。次にやらなくてはいけないタスクが紙の山に埋もれて、もう見えなくなっていた。ノートパソコンの中も同じようなもので、例えばメールも、一度さらっと読んだだけで、右クリックのメニューから未読に戻して後回しにしているものがたしか、二、三通くらいはあったはずだった。僕はそれらのものを全て僕個人に関係のないものと、とりあえずそういうことにして、今日は早く帰ることにした。